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魔王|伊坂幸太郎

魔王 (講談社文庫)

魔王 (講談社文庫)

最近読んだ本でもないけれど感想をちゃんと文字として残しておきたい本も書こう。

伊坂幸太郎と言えば"アヒルと鴨のコインロッカー"がミステリとして名作で、語り口や終わりの爽快感に伊坂幸太郎らしさが全て凝縮されているので伊坂作品を読んでみたいのでお薦めを教えてくれと言われたら間違いなく僕だってそっちを選ぶのだけれど、それでも僕の中での最高傑作は間違いなく魔王だ。

 

映画・ゲームはさておき小説や漫画や現代音楽、それからスポーツは平均以上には多様なものを読んだり聞いたり見たりするように心がけているのだけれど、自分の生活や意識にそうやって吸収したものが反映されることはまずない。近くにいる誰かを大切にしようだとか、常に死を思って行動しようだとか、そんなものは次の日とまではいかないが次の作品に触れるころにはすっかり忘れてしまっている。

それでもなお新しい作品に触れたくてたまらなくなったり新しい試合を見たくなったりするのは稀に猛烈に僕の心に食い込んで離れないものがあったりするからだと思う。

 

この小説を読んでから無駄かもしれない努力も厭わずにできるようになった、そういう意味で大好きな作品。ただし読後の効果には個人差があります。

 

あれだ、どうしようもなく飛び抜けた才能に対して無理なことがわかっているのにそれでもなお抗うのを辞めようとしない姿勢が僕は好きなんだ。

 

ちょうどオリンピックやってるので北京オリンピックの話をついでに書いておくと北京オリンピックの男子400mリレーが本当に好きで、日本が銅メダルを取ることができたのは他チームのバトンの受け渡しミスがあったからと言われたらそれはそうなんだけど、それでも筋肉の質の違いがあって、その土台の上に自分と同等の努力を重ねた人間に戦いを挑んでどんな形であれ勝ったあの瞬間にものすごい美しさを感じてしまう(そして同時に金メダルはどうあがいても手に入らないだろう、そんな残酷さも見えてしまうのだが)。

 

そういう美しさと残酷さを感じられる作品、試合にこれからも願わくば出会いたい。

 

ちなみに魔王は漫画版もストーリー全然違うけど面白いよね。こっちは一般的にも高評価。